「運送業を始めたい!」と思い立ったとき、多くの方が最初に直面するのが

すずき
「財産要件(自己資金)の壁」です。
実は、一般貨物自動車運送事業の許可申請において、自己資金の要件は他のどの要件よりもつまずきやすいポイント。しかも2019年(令和元年)の法改正で要件が大幅に厳しくなり、必要な金額が以前の倍以上になったケースも珍しくありません。
この記事では、愛知県あま市で許認可申請を専門とする行政書士が、運送業許可の財産要件について「何が必要か」「いくら必要か」「どう証明するか」をわかりやすくお伝えします。
前回までの記事もご覧ください。
そもそも「財産要件」って何のこと?
一般貨物自動車運送事業の許可には、「人(ヒト)」「物(モノ)」「金(カネ)」という3つの大きな要件があります。このうち「金(カネ)」に関する要件を、一般に財産要件と呼びます。
「なぜお金の要件があるの?」と思う方もいるかもしれません。理由はシンプルで、事業を始めた直後に経営が行き詰まってしまわないようにするためです。荷主さんや社会インフラを担う運送業において、開業後すぐに倒産してしまっては困りますよね。そのため、国は「きちんと事業を継続できる体力があるか」を開業前の段階で確認しているわけです。
💡 財産要件の基本ルール
- 事業開始に必要な「所要資金」を自分で計算する
- その所要資金と同額以上の自己資金を保有していること
- 自己資金は原則として預金残高で証明する
- 自己資金は申請から許可が下りるまでずっと確保し続ける必要がある
つまり、「所要資金=いくら必要か」を正確に計算することがスタート地点。ここを曖昧にしたまま進むと、後でやり直しになることも。しっかり把握していきましょう。
所要資金の計算方法|何を足し合わせるの?
所要資金とは、事業をスタートするために必要なお金の総額のことです。以下の項目を合算して算出します。
| 費用項目 | 内容・計算期間のポイント |
|---|---|
| 車両費 | 購入の場合は取得価格、リースの場合は6か月分のリース料 |
| 建物費・土地費 | 営業所・車庫の取得費、または6か月分の賃借料 |
| 保険料 | 自賠責保険+任意保険の1年分(任意保険は対人無制限・対物200万円以上) |
| 運転資金 | 人件費・燃料費・その他経費の6か月分 |
| 各種税金 | 自動車税・重量税などの1年分 |
| 登録免許税 | 12万円(許可取得時に必要) |
この中で金額が大きくなりがちなのが、やはり人件費(運転資金の中心)です。ドライバーを5名雇用する場合、6か月分の人件費だけで軽く1,000万円を超えることもあります。
⚠️ 注意:計算ルールは厳格です「これくらいでできる」という感覚値ではなく、国が定めた算出ルールに従って計算する必要があります。独自の計算では審査を通過できません。行政書士への相談をおすすめします。
自己資金はいくら必要?2019年改正のポイント
ここが多くの方が最も気になるところではないでしょうか。
◎ 改正前と改正後の大きな違い
令和元年(2019年)1月の法改正により、財産要件の計算に含める期間が大幅に変更されました。改正前は運転資金の計算期間が短かったのに対し、改正後は計算対象期間が延び、所要資金の合計額が跳ね上がったのです。愛知エリアでも「以前は許可が取れる金額だったのに、今は足りない」というケースが増えています。
◎ 目安金額はどのくらい?
ケースごとに大きく変わりますが、実態としての目安をお伝えします。
📊 所要資金の目安(一般的なケース:トラック5台)
※地域・車両・雇用状況によって大幅に変わります。あくまで参考値です。
- 愛知・名古屋近郊エリアで開業:おおむね1,500万〜2,000万円程度
- 東京・神奈川などの都市部:2,000万〜2,500万円以上になることも
- 自社所有の土地・建物・車両がある場合:その分だけ所要資金を圧縮できる
「1,000万円あれば大丈夫でしょ?」とお考えの方、残念ながら現在の基準ではかなり厳しい状況です。仮に土地・建物・車両をすべて自己所有していても、運転資金(人件費など)だけで一定の金額が必要になりますので、100〜200万円の自己資金では許可取得はほぼ困難です。
⚠️ 融資(借入)は自己資金に含まれません日本政策金融公庫などからの創業融資は、原則として許可取得後でないと実行されないため、申請時の自己資金としてカウントできないケースがほとんどです。あくまで「自分のお金(預金)」で準備する必要があります。
04残高証明書の注意点|提出は2回!常に確保が必要
自己資金の証明方法は、原則として銀行の残高証明書です。ここにも大事なルールがあります。
◎ 残高証明書は2回提出が必要
- ①申請受付日時点の残高証明書
- ②申請後に運輸局が指定する日時点の残高証明書(2回目)
つまり、申請を出してから許可が下りるまでの期間(おおむね3〜5か月)、残高をずっと維持し続ける必要があります。申請後に「車の購入でお金が減った」「税金の支払いで残高が不足した」といった事態になると、申請が認められなくなるリスクがあります。
💡 残高管理のポイント
- 所要資金以上の金額を、申請から許可まで動かさずに確保しておく
- 生活費・他の支払いと口座を分けて管理すると安心
- 余裕をもって所要資金の1.2〜1.3倍程度を準備しておくことが理想
これが意外と見落としやすいポイントです。「申請時はお金があった。でも途中で減ってしまった」というケースで申請が白紙になることも実際にあります。申請中の資金管理には細心の注意を払いましょう。
財産要件を満たすための現実的な準備ステップ
「どうすれば財産要件を乗り越えられるか」、現実的な準備の流れをお伝えします。
STEP 1|まず「所要資金」を正確に計算する
車両の台数・自己所有か賃借か・人員規模・事業エリアなどの条件を整理し、所要資金を算出します。この段階で行政書士に相談すると、計算ミスや要件の見落としを防げます。
STEP 2|自己資金が不足している場合の対策を考える
もし現時点で自己資金が不足している場合は、以下のような方法を検討してみてください。
- 不動産・車両を自己所有にすることで所要資金を圧縮する
- 家族・パートナーの預金を合算できる場合は専門家に確認する
- まず貨物利用運送事業(水屋)として資金を蓄積してから一般貨物へ移行する
- 許可取得後に融資を受けられるよう、事業計画を整えておく
STEP 3|申請から許可まで口座残高を維持する
所要資金以上の残高が確保できたら、申請を提出します。以後、許可が下りるまでの間は口座残高を動かさないように管理しましょう。
📌 この記事のまとめ
- 財産要件とは「所要資金と同額以上の自己資金を持つこと」
- 所要資金は車両費・建物費・人件費など複数の項目を合算して算出
- 2019年改正で必要額が大幅アップ。1,500万〜2,000万円が目安(愛知エリア)
- 残高証明書は申請時と審査中の2回提出が必要
- 申請中も残高を常に確保しておかなければならない
- 資金不足なら「貨物利用運送」で資金を貯めてから移行するのも一手
運送業許可の財産要件は、他の許認可と比べても特にハードルが高い要件のひとつです。「思っていたより難しい…」と感じた方も多いのではないでしょうか。でも、正確な情報と計画があれば、必ず乗り越えられます。
愛知県あま市の当事務所では、一般貨物自動車運送事業許可の申請サポートを承っております。「自己資金が足りるかどうかわからない」「どこから手をつければいいか迷っている」という段階でもお気軽にご相談ください。
運送業許可を申請するなら専門家へ
運送業許可を申請するなら専門家への相談が確実
「一般貨物自動車運送事業の要件がよくわからない」
「許可申請に必要な書類は何が必要?」
「運行管理者や整備管理者の選任ってどう手続きするの?」
こんな疑問があれば、運送業許可に詳しい行政書士に相談するのが安心です。
行政書士すずきなおと事務所では、一般貨物自動車運送事業許可申請の代行・申請書類の作成サポート・運行管理体制の整備のほか、必要書類のチェックや手続きの流れ説明なども含めて対応しています。
自動車の構造変更や自動車登録については(ハイエース構造変更・登録センター ~くるまの手続き.com~)こちらもぜひ参考にしてみてください。
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プロフィール
建設業許可・開発許可・農地転用・相続手続きなど、
土地と建設に関わる許認可を専門とする行政書士。
造成計画の相談から図面調整、関係機関との協議まで一貫してサポートし、
「わかりやすく、正確で、早い手続き」を大切にしています。
◎所在地:愛知県(全国対応)
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