先日、「有料職業紹介事業の許可申請をお願いしたい」というご相談をいただきました。
お気持ちはよくわかるのですが、実はこの許可申請は、
行政書士ではなく、社会保険労務士(社労士)の業務なんです。
「許認可申請=行政書士」というイメージが先行してしまいがちで、同じような誤解でご相談にいらっしゃる方が少なくありません。今回は、そのことも含めて有料職業紹介事業許可のポイントをわかりやすくお伝えします。
前回までの記事も良ければご覧ください。
この申請は社労士の独占業務です
行政書士は許認可申請の専門家として幅広い業務を扱いますが、有料職業紹介事業の許可申請は社会保険労務士(社労士)の独占業務です。これは法律で定められており、社労士以外の者が業務として代行することは違法になります。
「許認可=行政書士」というイメージが先行してしまいがちで、私のもとにもご相談をいただくことがあります。もしご友人や知人に「行政書士に頼んでみれば?」とアドバイスされた方がいても、それは善意の誤解です。担当できる専門家が異なりますので、必ず社労士にご相談ください。
注意:行政書士に依頼するとどうなる? 行政書士が有料職業紹介事業の許可申請を業務として受けることは、社会保険労務士法に違反します。もし依頼してしまうと、申請が適切に進まないだけでなく、依頼者にとっても不利益が生じる可能性があります。
そもそも有料職業紹介事業とは?
有料職業紹介事業とは、求職者と企業(求人者)の間に立ち、就職・採用のマッチングを行い、その対価として手数料や報酬を受け取る事業のことです。みなさんが日頃目にする転職エージェントや人材紹介会社がこれにあたります。
この事業を行うためには、厚生労働大臣の許可が必要です。許可を受けずに営業した場合、職業安定法違反として罰則の対象となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法令 | 職業安定法 第30条 |
| 許可権限 | 厚生労働大臣 |
| 許可有効期間 | 新規3年・更新5年 |
| 申請から許可まで | 約3〜4か月 |
許可を受けるための主な要件
許可申請にあたっては、複数の要件をすべてクリアする必要があります。主なものを確認しておきましょう。
【財産要件】 資産(繰延資産・営業権を除く)から負債を引いた額が500万円以上必要です。また自己名義の現金・預貯金が150万円以上必要です(事業所が2か所以上の場合は増額)。設立直後で決算が未確定な法人の場合は、資本金の額で判断されるケースもあります。
【事務所要件】 求職者のプライバシーを守るため、個室または高さ170cm以上のパーテーションで区切られた専用スペースが必要です。自宅の一室を利用する場合も要件があり、賃貸借契約の内容によっては使用できないケースもあります。
【職業紹介責任者の設置】 成年に達した後、3年以上の職業経験を有する者を職業紹介責任者として選任し、所定の講習会を修了させる必要があります。この講習会は全国各地で開催されていますが、予約が2か月以上先になることも多いため、申請を決めたら最優先で動きましょう。
【欠格事由に該当しないこと】 役員・代表者が一定の犯罪歴や法令違反歴を持つ場合、許可が受けられません。申請前に必ず確認が必要です。
【個人情報の適切な管理体制】 求職者の個人情報を適正に取り扱うための規程・管理体制の整備が求められます。プライバシーポリシーの整備なども含まれます。
申請の大まかな流れ
STEP 1|社労士への相談・要件確認 財産要件・事務所要件・欠格事由などを事前にヒアリングし、申請可能かどうかを確認します。ここで問題が発覚した場合は、増資や事務所の改装など、対策を先に講じる必要があります。
STEP 2|職業紹介責任者講習会の受講予約 全国各地で開催されていますが、人気が高く予約が埋まりやすいため最優先で動きましょう。講習修了証明書は申請書類に添付が必要です。
STEP 3|申請書類の作成・収集 定款の目的欄の確認や財務書類の準備など、添付書類は多岐にわたります。社労士が書類作成を代行しますが、依頼者側でも用意が必要なものがあります。
STEP 4|都道府県労働局へ申請 愛知県の場合は愛知労働局が申請窓口です。申請時には収入印紙代(1事業所あたり5万円、2か所目以降は1万8千円追加)と登録免許税(9万円)が別途必要です。
STEP 5|許可証の交付・事業開始 審査が完了し問題がなければ許可証が交付されます。申請から約3〜4か月を見込んでおきましょう。事業開始後も、毎年の事業報告書の提出や変更があった際の届出が必要です。
行政書士として、私にできること
有料職業紹介事業の許可申請そのものは社労士に依頼する必要がありますが、関連する手続きの中には行政書士が担える部分もあります。
たとえば、法人が申請する場合に定款の目的欄に「有料職業紹介事業」が記載されていないケースがあります。この場合は定款変更と法務局への登記手続きが必要で、これは行政書士・司法書士の業務領域です。
また、外国人の特定技能1号の方への職業紹介を予定している場合は、有料職業紹介事業許可に加えて「登録支援機関」の登録も必要となりますが、こちらは行政書士業務です。
つまり、事業の内容によっては社労士・行政書士それぞれの専門家に相談することで、スムーズに許可取得まで進められるケースもあります。
「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。愛知県あま市の行政書士として、必要な専門家のご紹介も含めてサポートしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
プロフィール
建設業許可・開発許可・農地転用・相続手続きなど、
土地と建設に関わる許認可を専門とする行政書士。
造成計画の相談から図面調整、関係機関との協議まで一貫してサポートし、
「わかりやすく、正確で、早い手続き」を大切にしています。
◎所在地:愛知県(全国対応)
◎お問い合わせは 公式サイトよりお気軽にどうぞ。
有料職業紹介の意外な落とし穴クイズ
第 1 問 / 全 3 問全問終了!お疲れ様でした
有料職業紹介の手続きは非常に複雑ですが、正しい専門家に相談することがスムーズな事業開始の第一歩です。






