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「土地に盛土をしたいけど、開発許可とは別に手続きが必要って本当?」
最近、こうしたご相談をいただくことが増えました。実は2025年5月9日から、愛知県のほぼ全域で新しい規制がスタートしています。それが「盛土規制法」です。今回は、愛知県あま市で行政書士として開発許可を専門に扱う立場から、盛土規制法の基本と許可申請の流れをわかりやすく解説します。
前回までの記事もよかったらご覧ください。
1.盛土規制法とは?きっかけは熱海市の土石流災害
盛土規制法の正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」といいます。
少し長い名前ですが、要は「盛った土が崩れて被害を出さないようにするための法律」だとイメージしてもらえれば十分です。
この法律ができた背景には、多くの命が失われた出来事があります。
2021年の夏、静岡県のある温泉地で大雨のあと大量の土砂が街を襲い、上流側にあった盛り土が崩落の起点になったとされる事故が起こりました。
この事故では住宅が次々と流され、二十数名の方が亡くなるという痛ましい結果となりました。
それまで盛り土に関するルールは、宅地は宅地造成等規制法、森林は森林法、農地は農地関連の法律というように土地の使い道ごとにバラバラに定められており、規制の網から漏れてしまう土地があることが問題視されていました。
そこで、土地の用途を問わず「危険な盛り土は一律の基準でまとめてチェックする」という発想のもと、新たに生まれたのが盛土規制法です。法律自体は2023年の春に施行されています。
2.愛知県ではいつから許可制度が動いているのか
法律ができたからといって、その日からすぐに全国で許可申請が必要になったわけではありません。実際に「どのエリアが規制対象になるか」を決める区域指定という手続きが別途必要で、各都道府県が準備期間を経て区域を指定していく流れになっています。
愛知県(名古屋市など政令指定都市や中核市を除く)では、2025年5月9日にこの区域指定が行われ、同日から許可・届出の運用が正式にスタートしました。
つまり、それより前に着手していた工事や、すでに別の許可を取得していた工事については扱いが変わってきます。区域指定の前から進めていた工事は、原則として盛土規制法の許可そのものは不要ですが、指定日から一定期間内に「こういう工事をしています」という届出を出す必要があるケースがあります。
また、以前の法律(旧・宅地造成等規制法)に基づいてすでに許可を取っている工事は、経過措置として引き続き旧法のルールで進めることができます。心当たりのある工事をお持ちの方は、自分がどのパターンに当てはまるのか、早めに確認しておくと安心です。
3.どんな土地・どんな工事が対象になるのか
盛土規制法では、規制のかかるエリアが2種類に分けられています。
ひとつは、市街地や住宅が密集しているエリアなど「盛り土が崩れたら人家に直接被害が及びやすい場所」。
もうひとつは、街から少し離れていても、地形の傾斜や谷地形などの条件から「土砂が流れ込むおそれがある場所」です。
前者よりも後者のほうが、より広い範囲・小さい規模から規制の対象になりやすいという特徴があります。
では、具体的にどのくらいの規模から許可が必要になるのでしょうか。
目安としては、盛り土によって高さ1メートルを超える崖ができる場合や、切り土によって高さ2メートルを超える崖ができる場合などが対象になってきます。面積や土の量によって「許可」が必要なのか、それとも「届出」で足りるのかも変わってくるため、一律に「〇〇㎡以上ならアウト」と言い切れないのが難しいところです。「自分の計画は対象になるのかどうか分からない」という場合は、判定のためのチェックシートを使って確認するという方法もあります。
4.実際の許可申請はどう進めればいいのか
対象となる工事を行う場合、おおまかには次のような順番で進んでいきます。
- 窓口へ事前相談を行い、計画内容が許可対象かどうかを確認する
- 工事を行う旨を近隣住民へあらかじめ周知する
- 設計図書などを添えて許可申請書を提出する
- 行政による審査を経て許可を受ける
- 着工の届出、工事途中での中間検査
- 工事完了後の完了検査
申請にあたっては、行政が公表している手引きや設計上の基準に沿って計画を組み立てる必要があります。資料のボリュームが大きく、専門用語も多いため、初めて手続きに取り組む方にとっては読み解くだけでも一苦労かもしれません。
5.開発許可を取っていれば盛土規制法の手続きは不要になる?
ご相談の中でよくいただくのが、「都市計画法の開発許可さえ取っておけば、盛土規制法の手続きは別にしなくていいのでは?」という質問です。
答えは半分正解、半分注意が必要です。盛土規制法の許可が必要な工事であっても、都市計画法の開発許可を受けて実施する工事であれば、盛土規制法の許可を受けたものとみなす「みなし許可」という仕組みが用意されています。
ですので、二重に許可申請書を出す必要はありません。ただし、みなし許可が適用される場合でも、工事の途中で行う中間検査や、決められたタイミングでの定期報告、工事終了後の完了検査といった手続きは、開発許可とは別に必要になる点は見落とされがちなので注意してください。
盛土規制法はまだ運用が始まったばかりの制度であり、土地ごとの地形や過去の許可の有無によって判断が分かれる場面が少なくありません。開発許可の手続きと合わせて、盛土規制法の許可・届出が必要かどうかも工事着手前の早い段階で確認しておくことで、後になって工事のやり直しや追加申請が発生するリスクを避けやすくなります。土地の造成をお考えの際は、ぜひ一度、開発許可を専門とする行政書士へご相談ください。
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