建設業の許可区分をシリーズで解説しているこの企画。今回は、建物づくりの“仕上げの職人”ともいえる 「左官工事業」 について深掘りしていきます。
左官といえば、「塗り壁の職人」というイメージが強いですが、実は許可区分としての左官工事はもう少し広い範囲をカバーしています。
愛知県で建設業許可申請をする際にも、工事の内容や例示を正確に理解しておくことはとても重要。実際の相談でも、「左官工事にあたる工事かどうか迷った」という声はよくあります。
この記事では、許可区分としての左官工事を “すぐ判断できる” ように整理しておきます。
ちなみに読み方は「さかん」と「しゃかん」どっちでもいいって職人さんに言われてたので、私は建設業に勤めていたときは「しゃかん屋さん」と呼んでいました。
左官工事とは何を指すのか?
国土交通省が定める定義では、左官工事とは以下のように説明されています。
つまり、昔ながらの漆喰塗りだけでなく、現代建築で多く使われるモルタル塗りや下地調整、吹付下地なども広く含まれます。
左官工事は、建物の見た目を整えるだけではなく、耐久性や防水性にも深く関わる重要な工事。建築物の質を左右する“縁の下の力持ち”のような工種です。ちなみに私は学生時代に左官屋さんのバイトをしたことがありますが、結構難しいですよ。職人技が必要です。
左官工事の具体的な内容
左官工事の主な内容を整理すると、次のようになります。
● モルタル塗り
セメントと砂を混ぜたモルタルで、壁・床・巾木などを仕上げる工事。
住宅、ビル、店舗など幅広い建物で使用されます。
● 漆喰・土壁の塗り
伝統建築に多いイメージですが、近年は調湿性やデザイン性から現代建築でも人気です。
● 下地塗り・下地調整
タイルを貼る前の下地作り、吹付仕上げの前の下地なども含まれます。
● プラスター塗り
石膏を使った仕上げで、内壁や天井仕上げとしてよく使われます。
● 床のレベリング
床の高さを調整するためのモルタル塗りも左官工事に該当します。
左官工事の工事例示
実際の許可判断でよく相談される例を挙げておきます。
● 壁・天井のモルタル塗り
● 漆喰・土壁の施工
● 吹付工事の下地調整
● タイル下地のモルタル塗り
● コンクリート面の仕上げ(小規模)
● レベリング工事、床均し工事
● 住宅内部の塗り壁仕上げ
「タイル貼り」そのものはタイル・れんが・ブロック工事業に分類されますが、その下地作りは左官工事に該当するケースが多いです。
他工種との境界で迷いやすいポイント
建設業許可では、どの工種に該当するのか境目がわかりにくいものがあります。左官工事でよくあるケースを整理します。
● ① 塗装工事との境界
塗装工事は“塗料”で仕上げる工事、
左官工事は“モルタル・漆喰・プラスター”など“材料を塗りつけて仕上げる工事”。
同じ「塗る」でも材料が異なるので注意。
● ② タイル工事との境界
タイルを貼る工事はタイル・れんが・ブロック工事。
ただし、タイルを貼るための下地調整は左官工事に含まれる。
● ③ コンクリート工事との境界
基礎や構造的なコンクリート工事は「とび・土工・コンクリート工事」。
左官工事は“仕上げ”として塗る部分。
左官工事で建設業許可が必要になるケース
建設業許可が必要となるのは、
1件の請負代金が500万円(税込)以上の工事
を行う場合です。
左官工事は比較的小規模な工事も多いのですが、マンションや商業施設、公共工事の仕上げなどでは500万円を超えるケースは十分あります。
継続的に受注していくのであれば、許可取得は大きな信用にもつながります。
愛知県で左官工事の許可を取る際のポイント
愛知県の建設業許可でよく相談されるのが、「経営業務管理責任者」と「専任技術者」の要件です。
● 専任技術者の証明
左官工事業では次の資格や実務経験が使われます。
・1級左官技能士
・2級左官技能士
・10年以上の実務経験(学歴で短縮可)
実務経験を証明する資料(契約書・請求書・写真など)を揃えるのが一番のハードルという相談が多いです。書類不足で申請が止まるケースも少なくないので、早めの準備が大事です。
シリーズとしてのまとめ
建築工事の専門工事シリーズ第4弾として、今回は「左官工事」を取り上げました。
仕上げの品質は建物の印象を左右する重要な工程。だからこそ、許可区分の理解も正確である必要があります。
左官工事の許可取得は、工事内容の判断・実務経験証明の準備など、細かいポイントでつまずきがちです。愛知県で許可取得を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
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