建設業許可の中でも、身近でイメージしやすいのが「大工工事」。しかし実務の世界では、木造建築の仕事であっても「どこまでが大工工事なのか?」「建築一式工事との境界は?」といったご相談がかなり多い分野です。

今回はシリーズ第3弾として、建設業許可の専門工事「大工工事」を、愛知県での許可取得を目指す事業者の方向けにわかりやすくまとめました。木造建築を中心に事業展開されている方は、ぜひ許可申請の参考にしてください。


大工工事はどんな種類の工事?

建設業法では、大工工事を次のような内容として定義しています。

「工作物を木材加工を伴って施工する工事」

つまり、木造建築物の新築・増築・改修といった工事だけでなく、木材を使った加工・取り付け・組み立てを行う工事全般を含むとされています。

愛知県の建設業課でも、大工工事の審査では以下の点が重要とされています。

  • 木造住宅等の建方(上棟)を伴うか
  • 木材加工が必要な工事であるか
  • 木造の軸組工事や下地工事を行っているか

大工工事は“木を扱う総合的な工事”という位置づけです。


大工工事の具体的な工事内容

大工工事の中には、建物の骨組みから仕上げに関わる部分まで、幅広い作業が含まれます。代表的な内容を整理すると次の通りです。

● 木造建築物の建て方・軸組工事

  • 柱・梁の組み立て
  • 筋交い・間柱の取り付け
  • 床組・小屋組の施工

● 木造建築の増改築工事

  • 間取り変更のための木軸解体・再施工
  • 和室から洋室への変更に伴う下地工事

● 内装の木工事

  • 天井下地、壁下地の施工
  • フローリング張り
  • 造作家具(棚、カウンター)制作・施工

● 外部木工事

  • 軒天木下地の施工
  • 木製フェンスやウッドデッキの施工

内装の造作から構造部分まで、木材加工が伴う工事であれば大工工事として扱われる可能性が高いです。


似ている工事との境界(けっこう大事なポイント)

許可申請でよく迷うのが、「それ、大工工事?それとも建築一式?別の専門工事?」という区分。

以下に代表的な境界線をまとめておきます。

● 建築一式工事との違い

  • 大工工事 → 木造建築の“専門的部分”を請け負う
  • 建築一式工事 → 設計から複数工事業者のマネジメントを伴う“総合工事”を請け負う

木造住宅を丸ごと請負う=建築一式
内装や骨組みなど木工を担当=大工工事

というイメージです。

● 内装仕上工事との違い

内装仕上工事はクロス貼り・塗装・床仕上げなどの“仕上げ作業”。
一方で大工工事は、

  • 下地づくり(床・壁・天井)
  • 木工造作


といった構造寄りの作業が中心です。

● とび・土工工事との違い

木造建築の建て方は大工工事ですが、鉄骨建方はとび・土工工事になります。


大工工事で建設業許可が必要になるケース

金額基準は全国共通で、次のいずれかに該当する場合は建設業許可が必須です。

  • 1件の工事代金が500万円(消費税込)以上となる場合
  • 建築一式工事の場合は1,500万円以上 または 延床150㎡以上の木造住宅

愛知県でもこの基準は同じで、特に木造新築・大規模リフォームを行う場合は確実に許可が必要になります。

最近は「請負代金の中に材料費を含む工事」が増えているため、500万円を超えるかどうか事前にしっかり見ておく必要があります。


実務でよくある質問

造作棚やカウンターの取り付けだけでも大工工事?

木材加工や取り付けを伴う場合は大工工事に分類される場合が多いです。

下地工事と仕上げ工事の両方をやっている場合は?

仕上げも請負う場合でも、中心が木工であれば大工工事で申請するケースが一般的です。

建築一式工事の許可があれば大工工事もできる?

建築一式工事の許可は、下位の専門工事を包括して請負うことができます。ただし専門工事として広告する場合は「大工工事業」の許可が必要です。


愛知県で大工工事の許可取得を目指すなら

大工工事は建設業許可の中でも最も歴史のある専門工事で、実務でも判断の難しい場面が多い分野です。

  • 木材加工があるか
  • 構造部分の工事なのか
  • 請負金額が500万円を超えていないか

これらを一つずつ確認して、許可区分を正しく理解することが大切です。

愛知県で建設業許可を取得する場合、書類作成や実務経験の証明でつまずくケースが少なくありません。大工工事で許可取得を目指す方は、専門の行政書士に相談しながら進めることで、スムーズに許可取得ができます。

シリーズ第4弾もぜひお楽しみに。


建設業許可を検討するなら専門家への相談が確実

「うちは応援が中心だけど、許可が取れるの?」
「請負実績として認められるのはどれ?」
「工事の完成責任ってどこまで必要?」

こんな疑問があれば、建設業許可専門の行政書士に相談するのが安心です。

すずきなおと行政書士事務所では、
建設業許可の取得・更新・変更のほか、
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建設業許可の総合サポートサイト
建設・住宅サポート行政書士事務所(https://kensetsu-jutaku-support.com/)
こちらもぜひ参考にしてみてください。

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プロフィール

行政書士すずきなおと事務所


建設業許可・開発許可・農地転用・相続手続きなど、
土地と建設に関わる許認可を専門とする行政書士。
造成計画の相談から図面調整、関係機関との協議まで一貫してサポートし、
「わかりやすく、正確で、早い手続き」を大切にしています。

◎所在地:愛知県(全国対応)
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建設業許可(大工工事)理解度チェック

お疲れ様でした!クイズは終了です。

建設業許可の判断は、このように専門家でも迷うポイントが多いのが実情です。
ひとつ間違えると許可が取れない・取り消しになるリスクもあります。
愛知県での許可取得は、ぜひ専門家である当事務所にご相談ください。