建設業許可の「種類」を理解しようとすると、どうしても最初に壁になるのが“一式工事”と“専門工事”の違いです。
前回の記事(第1弾・土木一式工事)では、道路や造成などの大規模工事を総括して行うのが「土木一式工事」だと紹介しました。
シリーズ第2弾となる今回は、もう一つの“一式工事”である 建築一式工事(建築工事業) について、愛知県で許可を取りたい建設業者さん向けにわかりやすくまとめます。
建築一式工事とは?
建築一式工事は、建物そのものを総合的に施工する工事です。
ただ「建物を建てる工事」と言ってしまうとシンプルなんですが、実務では 複数の専門工事をまとめて管理する“総合工事” という点がポイントになります。
建築一式工事の特徴
- 建物の新築・増改築を総合的に取りまとめる
- 現場の“元請”として工事全体を統括することが多い
- 大工・鉄筋・型枠・電気・設備など、多様な専門工事を組み合わせて進む工事を管理する
- 工事規模が大きく、建築確認が必要になるケースが多い
つまり、建築一式工事は「施工管理能力」が強く問われる業種です。
建築工事一式はどんな時に必要?
建築一式工事の許可が必要になる工事は、概ね以下のような“建物の総合工事”です。
工事内容
- 建築物の新築
- 建築物の増築
- 建築確認が必要な大規模改修
- 公共施設(学校・病院など)の建設・改修
- 住宅やマンションの大規模リフォーム
- 耐震補強工事(設計を伴うもの)
工事の例示
- マンション新築工事
- 商業ビルの建設
- 店舗併用住宅の新築
- 工場建屋の建設
- 学校・福祉施設の新築や増築
- 事務所ビルの大規模改修
要するに、建物まるごと一式で請け負う規模の工事を行う場合に必要な許可と考えるとイメージしやすいです

お客様
あっ!じゃあ建築一式の許可取れば、大工工事や内装工事が全部できるんですね!

すずき
なんだか前回でも言ったような(心の声)
一式工事は工事全体の管理なので、専門工事はできないんです。
建築工事一式の許可でよくある誤解が、
この『建築一式工事を取れば、大工工事などの工事が全てできる』という勘違いです。
◎ 正しい理解
✔ 建築一式工事は“総合工事”を請け負うための許可
✔ 専門工事を単独で受注する場合は、別途その専門業種の許可が必要なことも多い
例えば
- 内装工事だけ受注 → 内装仕上工事業が必要
- 電気工事だけ受注 → 電気工事業が必要
建築一式工事は万能ではなく、「まとめて全体を管理する」ための許可なんです。
軽微な工事なら無許可でOK?
建設業許可には「軽微な工事」という例外があります。
建築一式工事の場合は、
- 請負金額が1,500万円未満
- 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
などは“軽微な工事”となり、許可が不要な場合があります。
ただし、事業を本格的に拡大していくなら必ず限界が来ますし、元請として仕事を増やしたい場合は建築一式工事の許可がほぼ必須になります。
愛知県で建築一式工事の許可を取る際のポイント
愛知県の申請実務でよく質問される点をまとめると、次の3つが重要です。
① 専任技術者の要件
建築士や建築施工管理技士など、資格・実務経験が厳密にチェックされます。
特に“実務経験証明”は誤りが多く、補正の原因になりやすいです。
② 経営業務管理責任者(経管)の要件
建設業の経営経験が必要で、法人なら役員経験、個人なら事業主経験が問われます。
③ 財産的基礎・資金力
500万円以上の資金力を証明する書類が必要で、残高証明・決算書などの確認が行われます。
“揃えればいい書類”ではなく、“どう揃えるか”が大事なポイントです。
シリーズ第2弾まとめ
建築一式工事は、
- 建築物の総合施工を行う“一式工事”
- 元請として総合管理する立場の許可
- 専門工事単独には別許可が必要
という特徴があります。
このシリーズでは、次回から「専門工事27業種」をひとつずつ解説していきます。
大工工事業・とび土工工事業・内装工事業など、実務でよく間違われるポイントを中心に、愛知県の申請例を交えて紹介します
建設業許可を検討するなら専門家への相談が確実
「うちは応援が中心だけど、許可が取れるの?」
「請負実績として認められるのはどれ?」
「工事の完成責任ってどこまで必要?」
こんな疑問があれば、建設業許可専門の行政書士に相談するのが安心です。
すずきなおと行政書士事務所では、
建設業許可の取得・更新・変更のほか、
財務書類・人員要件チェックなども含めて対応しています。
建設業許可の総合サポートサイト
☞建設・住宅サポート行政書士事務所(https://kensetsu-jutaku-support.com/)
こちらもぜひ参考にしてみてください。
☞お問い合わせフォームはこちら
プロフィール
建設業許可・開発許可・農地転用・相続手続きなど、
土地と建設に関わる許認可を専門とする行政書士。
造成計画の相談から図面調整、関係機関との協議まで一貫してサポートし、
「わかりやすく、正確で、早い手続き」を大切にしています。
◎所在地:愛知県(全国対応)
◎お問い合わせは 公式サイトよりお気軽にどうぞ。
