建設業許可の中で、鋼材を扱う現場に欠かせないのが「鋼構造物工事(こうこうぞうぶつこうじ)」です。本記事では、鋼構造物工事がどのような工事なのか、どこまでが許可の対象となるのか、さらに建築工事の区分における位置づけを丁寧に解説します。

このシリーズは「建設業許可の種類・専門工事を一つずつ深堀りする企画」の第11弾です。すでに多くの業種を解説してきましたが、今回は特に誤解の多い工種のひとつ、鋼構造物工事に焦点を当てます。

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鋼構造物工事とは?

鋼構造物工事とは、形鋼や鋼板などの鋼材を加工し、組み立てることで構造物を築造する工事全般を指します。

特徴は以下の3点です。

  1. 構造物レベルの規模を扱う工事である
  2. 鋼材そのものを加工する工程が含まれる
  3. 工場加工+現場組立ての両方が対象になる

つまり、単に「鉄骨を現場で組み立てるだけ」ではなく、鋼材を切断・溶接・曲げ加工し、図面に基づいて製作した上で、現場に搬入し組み立てる。この一連の流れそのものが鋼構造物工事の範囲です。


他の工事業種との違い

鋼構造物工事は、似た業種との区分が特に混同されやすい工種です。ここで整理しておきます。

● とび・土工・コンクリート工事との違い

「現場での鉄骨組立」だけを行う場合、一般的にはとび・土工・コンクリート工事に該当します。

一方、鋼構造物工事は
“鋼材製作”+“構造物としての組立て”
まで含む点が大きく異なります。

● 建築一式工事との違い

建築一式工事は建物全体をまとめて請け負う工種です。
一式工事の中では鉄骨造の躯体工事も含まれますが、個別に鉄骨架構の製作や大規模鋼製構造物を請け負う場合は、鋼構造物工事が必要になります。

つまり、
建物全体=建築一式工事
鋼材・構造物単体=鋼構造物工事

という区分です。


鋼構造物工事に該当する工事例

鋼構造物工事は、建物ばかりでなくインフラ関連の工事にも広く関わります。代表的な工事は以下の通りです。

● 鉄骨工事(鉄骨造建築物の製作・組立)

  • 工場・倉庫・商業施設・公共施設
  • 柱・梁・床・桁などの鉄骨フレーム製作
  • 厚鋼板の切断・溶接・加工を伴う

鉄骨造の建物を施工するうえで中心となる工事です。

● 橋梁(きょうりょう)工事

  • 鋼橋・歩道橋・陸橋
  • 鋼桁・橋脚部分の製作・架設

特に橋梁では、工場での精密な鋼材加工が必須となります。

● 鉄塔・通信塔工事

  • 送電線鉄塔
  • 通信アンテナ塔
  • 風力発電タワーなど

高所作業と重量物施工がセットになる工事です。

● 鋼製タンク・容器の製作・設置

  • 石油タンク
  • 水・ガス貯蔵タンク
  • 大型サイロ

工場加工が中心となる典型的な鋼構造物です。

● 水門・閘門・ゲート設備

河川やダムの水門、港湾施設の鋼製扉体などが対象となります。

● 鋼製広告塔・大型看板構造

鋼材フレームを製作し、基礎とともに設置する工事も該当します。


鋼構造物工事の許可を取得するメリット

① 大型案件を請け負える

鋼構造物工事は金額規模が大きくなりやすく、
許可の有無が受注可能性に直結します。

② 昨今の需要拡大に対応できる

愛知県では工場・倉庫・物流施設の建設が多く、
鉄骨造の躯体工事や橋梁工事の案件も伸びています。

③ 技術力の証明につながる

鋼材加工・溶接・構造設計への理解など、高度な技術を要するため、
許可の取得そのものが会社の信頼性向上に直結します。


愛知県で鋼構造物工事を行う事業者へ

愛知県は製造業が集積し、工場・倉庫・物流拠点の新設・改修が盛んな地域です。そのため、鉄骨造の建物や鋼製構造物の需要が非常に高めです。

もし今後、次のような業務を手がける可能性があるなら、
鋼構造物工事業の建設業許可は必ず取得しておくべき工種です。

  • 鉄骨造建築物の躯体工事
  • 橋梁や鉄塔の製作・架設
  • タンク・サイロの製作設置
  • 大型鋼製看板の架設
  • 各種鋼製構造物の製作・設置

適切な業種を持たずに工事を請け負うと、思わぬ法的リスクにつながります。
許可区分で悩む事業者はとても多いため、早めに確認することをおすすめします。


鋼構造物工事は“鋼でつくる構造物全般”を扱う重要な専門工事

鋼構造物工事(こうこうぞうぶつこうじ)は、建物だけでなく、橋梁・鉄塔・タンク・水門・広告塔など、多岐にわたる鋼製構造物を扱う専門性の高い工事です。

愛知県で建設業を営むのであれば、
「鋼材を加工し、構造物として組み立てる工事」
を請け負う可能性があるかどうかを一度見直してみてください。

次回はシリーズ第12弾として、別の専門工事をわかりやすく解説していきます。


建設業許可を検討するなら専門家への相談が確実

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プロフィール

行政書士すずきなおと事務所


建設業許可・開発許可・農地転用・相続手続きなど、
土地と建設に関わる許認可を専門とする行政書士。
造成計画の相談から図面調整、関係機関との協議まで一貫してサポートし、
「わかりやすく、正確で、早い手続き」を大切にしています。

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