今回は一般貨物自動車運送事業許可(緑ナンバー)取得について、簡単に説明していきます。地方によって、基準が違ったりするので、要確認ですがおおまかな流れ、おおまかな要件を紹介します!
一般貨物自動車運送事業とは
貨物自動車運送事業法 第2条2項抜粋
”この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。”
つまり、トラックなどを使って、他人の依頼を受けて有料で物を運ぶお仕事の事です。
このお仕事をしたい場合、国の許可(国土交通省)が必要です。
全体のおおまかな流れ
ざっと、どんな流れかを見ていきます。あくまでおおまかな流れなので細かい所は今回は省きます。
1.事業構想、準備段階
どこに営業所を置くのか、どこに車庫を置くのか、車両の数、人の確保などの計画を作成
2.営業所、車庫、休憩室の確保
自己物件か賃貸か、車庫は営業所に隣接してるか、休憩室はどこにあるのかを明確にする
3.ヒトの確保
運行管理者、整備管理者、運転者などの確保
4.資金計画の組み立て
トラックの購入費用、社員への給与、任意保険、いくらまで自己資金で賄えるか、融資はいくらされるかなどの裏付けを用意
5.書類作成 ⇒ 申請
許可に必要な申請書類を作成、添付書類とともに運輸支局へ提出
6.法令試験
許可を受けるために、適合性確認の試験を受けます
7.許可交付
許可が下りたら、届出を提出し、運送事業のスタートです
では、許認可の共通要件である、ヒト、モノ、カネの要件を見ていきます!
ヒト(人的要件)
誰が、どのような役割で働くかが重要になります。申請時に示す役割を紹介します。
・運行管理者
運行管理者試験に合格した者で、一定のトラック運送事業の運行管理を統 括できるも者
・整備管理者
1級、2級又は3級の自動車整備資格保持者で、自動車整備を指導、監督できる者
・運転者
言うまでもないですが、使用する自動車に応じた免許証保持者で、勤務時間、休息基準を守れる者
・補助者、運行管理補助者
必要に応じて
・その他従業員
営業所の事務、経理、総務作業ができる者
運送事業では、事故をどう防止するか、積みすぎる(過積載)問題をどう処理するか、どのように従業員に教育するかなどを計画書に記載する必要があります。
モノ(物的要件)
事業を運営していくうえでの拠点となる場所、使用する車両、その他の設備が要件を満たさないといけません。
・営業所、車庫、休憩所など
使用権原、他の法律に抵触しないこと、規模が適切であることが求められます。
車庫前の道路幅も規定以上であること、車庫と営業所が併設できない場合の距離基準などに注意が必要です。
・車両
事業用自動車で使用権原があること。1営業所につき、5台以上確保することが必要です。また、各車両に適切な任意保険、内容は対人賠償無制限、対物賠償200万以上などの要件が求められます。
・その他の設備
運行管理のシステム、アルコール検知器、日常点検、通信手段などの方法を記載することが求められます。
カネ(財産的要件)
事業が認められるためには、ある程度の運転資金が求められます。
・車両費
取得価格又は、リースの場合は6か月分の賃借料等
・建物費
取得価格又は、6か月分の賃借料、敷金等
・土地費
取得価格又は、6カ月分の賃借料、敷金等
・保険料
自動車損害賠償責任保険料又は自動車損害賠償責任共済掛金の1年分など
・各種税金
租税公課の1年分
・運転資金
人件費、燃料油脂費、修繕費の2カ月分
これらの合計以上の自己金額が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていることが必要となります。
主な提出書類
・一般貨物自動車運送事業許可申請書
・運行管理体制・整備管理体制に関する書類(様式1)
・事業開始に要する資金および調達方法(様式2)
・施設概要・配置図・見取り図
・使用権原を示す書類
・車両使用権原・車両緒元明細書
・保険加入計画・証明書類
・定款・登記事項証明書(法人)
・決算書(法人)
・運転者名簿または確保予定者名簿
・欠格事由に該当しない旨の宣誓書
・代理申請の場合は委任状
・関係法令に違反しないことの宣誓書
法令試験
申請者(代表者や責任者)は、法令試験に合格しないといけません。基準に適合しているかの確認です。
関東運輸局のものではありますが『試験の公示』を載せておきますので、興味ある方はご覧ください。
申請の費用の目安
・許可申請手数料 約12万円(収入印紙)
・登録免許税、その他登録費用 約2~3万円
・行政書士報酬 20~50万円程度
注意ポイント
1.資金裏付けの厳しさ
ここでつまづく事が多いようです。自己資金要件が厳しく、借入に頼りきった計画では不十分となることが多いようです。
2.設備、車庫要件
道路の幅員、施設の適合性などで不備となる例が多いようです。
3.人員確保
昨今の人手不足で、この業界に限らず人員の確保ができないことがありえるので早めの確保が必要です。
4.補正、審査期間
審査期間で3~5カ月、許可がおりるまで6~12カ月かかることも頭に入れておく必要があります。
5.地方差
地方によって、要件が違います。この記事ではこう書かれてたからこれで大丈夫とは限りません。申請先の管轄支局に確認することが必要です。
まとめ
- 一般乗合旅客自動車運送事業には「ヒト・モノ・カネ」の要件が法定で規定
- 【ヒト】運行管理者・整備管理者・運転者の確保が必要
- 【モノ】営業所・車庫・休憩施設が基準を満たすこと
- 【モノ】車両は安全基準に適合し、予備車両の確保も望ましい
- 【カネ】開業資金・運転資金が十分であることを証明
- 【カネ】収支計画・資金計画の提出が求められる
どうでしょうか?よし、自分でやろうと思いますか?
新事業を始めるに当たって、スムーズなスタートは必須です。
余計な手間と費用を掛けることも大いにあります。依頼するしないは別として、一般貨物自動車運送事業許可を取りたいのであれば、まず専門家に相談することをおすすめします!
気軽に相談できる行政書士はこちら
⇓
そうだ!すずきに聞こう!『行政書士すずきなおと事務所』