〜建築工事と建築業の種類をわかりやすく解説するシリーズ第15弾〜
建設業許可を取得するうえで、自社の業務がどの「工事種類」に当てはまるのかを正確に理解しておくことは非常に重要です。本記事では、専門工事のひとつである 「板金工事」 について詳しく解説します。愛知県で建設業許可を検討している方、板金工事を主業務としている方に向けて、工事内容・例示・許可取得のポイントを整理しました。
本記事は「建築工事と建築業の種類」シリーズの第15弾としてお届けします。
板金工事とはどんな工事なのか
板金工事とは、金属の薄板(鉄・アルミ・ステンレス・銅など)を加工し、建物に取り付ける工事をいいます。
金属板を切断・折り曲げ・溶接・組立などの加工を行い、建築物の屋根・外壁・雨樋・庇・水切り・ダクト・厨房・排気設備などに取り付ける作業が幅広く含まれます。
現場ごとに寸法が異なるため、既製品を取り付けるだけでなく、職人がその場で金属板を加工し“建物に合わせて造る”という高度な技能が求められるのが特徴です。
建設業許可の区分では「専門工事」に該当
建設業許可は「一式工事」と「専門工事」に分類されていますが、
板金工事は 専門工事業のひとつ として扱われます。
屋根・外壁・付帯設備・換気設備など幅広い場面で金属板を使うため、住宅から工場・商業施設まで、多様な建築物で必要となる工種です。
板金工事に該当する工事内容
板金工事として扱われる主な工事内容は次のとおりです。
- 金属サイディング・金属パネルの外壁施工
- ひさし・水切り・霧除け・棟包みなどの金属製部材の取り付け
- 雨樋(とい)の金属製品の施工
- 谷樋・軒先・破風板などの金属加工部材の施工
- 換気ダクト・排気設備・厨房内ステンレス仕上げの施工
- 金属天井、金属製内装材の加工・取り付け
- 鉄板を使用した各種仕上げ工事
建物の“雨仕舞(あまじまい)”や耐久性に直結する工事が多く、建物の寿命を左右する重要な工種でもあります。
注意点:金属屋根ふきは「屋根工事業」に分類される場合あり
板金工事業と混同されやすいのが 金属屋根ふき工事 です。
金属板で屋根材を施工する場合、建設業許可上は「板金工事」ではなく 屋根工事業 に分類されることがあります。
同じ金属板を使用していても、許可区分が異なるケースがあるため、業務内容をよく確認して適切な種類で許可を取得することが大切です。
板金工事の具体的な工事例(例示)
以下のような施工は、典型的な板金工事に該当します。
- 金属サイディングの外壁張り替え
- ガルバリウム鋼板の外壁パネル取り付け
- ステンレス製の厨房内壁・天井の施工
- 建物の水切り・笠木・庇の金属板加工・取り付け
- 雨樋や軒樋の金属製品施工
- 排気筒・ダクトの金属製作と据付
- 金属化粧板の内装仕上げ
とくに近年はガルバリウム鋼板やアルミパネルの需要が増え、金属外装の施工技術が建物の価値に直結するようになってきました。
板金工事業の許可を取得するための要件
板金工事業で建設業許可(一般・特定)を取得するには、次の要件を満たす必要があります。
● ① 専任技術者の配置
営業所ごとに、次のいずれかを満たす技術者が必要です。
- 国家資格(例:一級建築施工管理技士、二級施工管理技士の該当区分)
- 実務経験10年以上
- 指導監督的実務経験が規定年数ある者
● ② 財産的基礎
一定額の自己資本や預金があること。
● ③ 社会保険の加入
建設業許可では社会保険加入が必須です。
● ④ 誠実性・欠格要件
法令違反や欠格事由がないこと。
● ⑤ 請負金額の基準
元請で500万円以上の工事を請負う場合、許可が必要。
(材料支給であっても支給材料費を含めて判定)
愛知県で板金工事業の許可取得を目指す方へ
愛知県で建設業許可を申請する際は、次のポイントを必ず確認してください。
- 工事内容が「板金工事」に該当するか
- 専任技術者の資格・経験が足りているか
- 屋根工事業との区別が必要な工事ではないか
- 財務要件・社会保険加入が整っているか
- 施工記録・見積書・契約書など、証拠資料を揃えられるか
特に、金属屋根と板金工事を併業している事業者は、誤区分で申請すると不備になることがあるため注意が必要です。
まとめ
板金工事は、金属の薄板を建物の部材として加工・取り付ける専門性の高い工種です。外壁・雨仕舞・換気設備・内装金物など、建物の機能性と耐久性を支える非常に重要な役割を担います。
愛知県で建設業許可を取得する場合は、工事内容の区分、専任技術者の資格、財務基盤などを正確に整えることが求められます。
次回のシリーズでは、また別の専門工事について詳しく解説していきます。
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