当ブログでは「建設業許可の専門工事をひとつずつわかりやすく解説するシリーズ」をお届けしています。
今回は第八弾として 「電気工事業」 を取り上げます。
住宅・工場・オフィス・店舗など、あらゆる建築物に欠かせない電気設備。その施工を担うのが電気工事業です。しかし、名称は知っていても、どの範囲までが電気工事なのか、建築とどう線引きされるのか、許可が必要な基準は何か?意外と知られていません。
この記事では、電気工事の定義・内容・具体例・建築一式との違い・許可取得のポイントまで、愛知県の実務に沿ってわかりやすく整理していきます。
電気工事業とは?
電気工事業は、建設業29業種のうち「専門工事業」に分類されます。
建築一式工事のように「建物全体を請け負う」ものではなく、電気設備の設置・交換・配線・調整など、電気そのものを扱う工事に特化した業種です。
電気は建物の生命線ともいえるもので、安全性と専門性が非常に重要です。そのため、他の専門工事より資格者の配置や技術要件が厳密に求められています。
電気工事の対象となる工事内容
電気工事というと「照明工事」が代表的ですが、実際はもっと広範囲です。
① 建物内の電気設備工事
- コンセント・スイッチの増設
- 屋内配線の新設・改修
- 分電盤の交換
- エアコンの専用回路増設
- 照明器具の新設・移設
戸建て・アパート・マンション・店舗・事務所など、最も身近な領域です。
② 建物外の電気設備工事
- 外灯・駐車場照明
- 看板用電源の配線
- 屋外用分電盤の設置
建物外でも電気設備が絡む工事なら電気工事業の範囲です。
③ 発電・受変電設備の工事
- 太陽光発電設備(低圧・高圧)
- 大規模施設の受変電設備
- 自家用発電設備
特に太陽光は現在ニーズが高く、電気工事業者が取り扱う範囲が広がっています。
④ 各種機器の電源工事
- 防犯カメラの電源配線
- 自動ドアの電源工事
- 業務用エアコンの電源工事
機器そのものの取り付けより、「電源の確保・配線」が電気工事業者の役割です。
建築一式工事との違い
「建築一式工事を持っていれば、電気も自社でやっていいの?」
という質問をよくいただきます。
結論は “NO” です。
建築一式工事は、
「複数の工事を総合的にマネジメントし、建物を完成させる工事」
を対象にしています。
一方、電気工事は専門性が高く、危険性も伴うため、
別の工事種目として許可(または登録)が必要 になります。
たとえば新築住宅の工事一式を請け負っても、
自社で電気工事を施工する場合は「電気工事業」が必要。
建築だけの許可で電気を自ら施工することはできません。
愛知県で電気工事を行うための許可・登録
愛知県では、電気工事を行うために以下のどちらかが必要です。
① 建設業許可(電気工事業)
請負金額が 税込500万円以上の工事 を受注する場合は必須です。
規模の大きい太陽光工事や事業用電気設備の工事が想定されます。
② 電気工事業者の登録(みなし登録含む)
500万円未満の工事が中心の事業者でも、
「登録電気工事業者」としての登録が必要です。
また、建設業許可を持つ業者は
「みなし登録電気工事業者」 として手続きが簡略化される制度があります。
技術者(主任電気工事士)の配置が必須
電気工事業の特徴は、
有資格者である「電気工事士」を必ず配置しなければならないこと。
・第一種電気工事士
・第二種電気工事士
さらに、登録の際は「主任電気工事士」を営業所ごとに選任します。
専門性が高い分、ほかの工事業種より技術要件は明確です。
電気工事業の許可取得でよくある質問
- 太陽光発電の設置には許可が必要?
設備の架台だけなら「とび・土工工事業」ですが、配線や電気との接続を行うなら電気工事業が必要です。
- 防犯カメラの取付は?
電源工事がある場合は電気工事業。LAN配線のみなら電気ではありません。
- エアコン取付は?
家庭用エアコンでも、専用電源やコンセント増設を行えば電気工事業の範囲です。
まとめ:電気工事業は「建物の心臓部分」を扱う重要な専門業種
電気工事業は、
建物に電気を安全・正確に供給するための重要な専門工事です。
- 建物内外の配線
- 照明器具
- 分電盤
- 太陽光発電
- 各種設備の電源工事
など、幅広い工事が対象となり、建築一式ではカバーできません。
愛知県で電気工事を請け負う場合は、
建設業許可(電気工事業)または電気工事業者の登録が必須 です。
当事務所では、
「電気工事業の新規許可」「決算変更」「登録申請」「技術者要件の確認」
など、すべてサポート可能です。
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